埼玉・朝霞の耳鼻科 さない耳鼻科クリニック 
中耳炎治療、副鼻腔炎治療

048-450-3710

耳鼻科の病気について

疾病の種類

突発性難聴

突然発生する原因不明の高度の難聴。
めまいを伴うと予後が悪い(治りにくい)。
ストレス等で起こる内耳周辺の循環障害やウイルス感染が関わっていると考えられています。
早期に適切な治療を開始するとかなりの改善を期待できますが、治癒しない場合もあります。
発症を繰り返す事はありません。
治療は、ステロイド剤が中心となり、その他、循環改善薬、ビタミン剤等が用いられます。

メニエール症候群

「①回転性めまいを反復する」「②耳鳴り、難聴などを反復する」「③中枢神経疾患や、原因既知のめまい・難聴を除外できる」
の3点を満たす場合をいいます。
全部を満たさなくても、疑い症例として治療する事が多いです。
はっきりした原因は不明で、ストレスや自律神経の緊張、自己免疫疾患等が議論されています。
「繰り返す事」が特徴で、初回発作は突発性難聴と診断される場合があります。

低音障害型感音難聴

低音域の聴力が悪化する感音難聴で、強くストレスに依存する傾向があります。
疲れたときに難聴が出現し、まもなく自然に治る事もあります。
治療は難聴の程度によりますが、突発性難聴に準じたものとなる場合もあります。

老人性難聴

年齢が進むとともに出現する感音難聴で、高音域から出現します。
すべての人がなる訳ではありません。
聴力検査で診断がつきます。

後迷路性難聴

純音聴力検査に比して、語音弁別能が不良なもので、いわゆる、「音は聞こえるが、聞き取れない」という難聴です。
従って、補聴器のフィッティングは難しい例が多くなります。
まれに、聴神経腫瘍や脳幹障害が原因になっている事があるので、きちんとした検査が必要です。

耳垢栓塞

意外に多い難聴の原因です。
長年たまっていた耳垢が風呂水等でふやけて、耳栓のように外耳道にはまり込んでしまうと、突然、耳が聞こえなくなったように感じます。
耳鼻科を受診せずに補聴器を買われた方の中に時々見かけられます。

心因性難聴

思春期の女子に多いと言われていましたが、最近では低年齢化が進み、小学校低学年でもみられる事があります。
実際は聞こえているのに、検査では難聴を示します。
心理的に抑圧されていることが多く、学校健診で難聴を指摘されたことをきっかけに、いじめが明らかになった、という事例もあります。

高音難聴

高音域の難聴です。
多くは加齢とともに現れます。
頻繁に耳鳴りを伴います。

転移性腫瘍

耳鳴りの多くは心配のないものですが、まれに放っておいてはいけないものもあります。
院長が実際経験した症例で、不思議な耳鳴りを訴えるため、念のため頭部CTを行ったところ、頭蓋底に腫瘍が見つかった方があります。
問診票に何も記載がないため、よく、既往歴を聞いてみて、原因が判明しました。
心配な耳鳴りと、注意すべき耳鳴りは鑑別が難しいときがあります。

滲出性中耳炎

こどもの滲出性中耳炎

上気道の炎症に続く中耳の炎症です。
中耳腔、乳突洞に液体の貯留液が認められ、難聴が起こります。
痛みなど急性炎症の症状を伴わないことが多く、学校健診などではじめて見つかる場合があります。
難聴をこども自身が訴えないと、長い期間放置され、「なんとなくボオーッとしている子」になっていることもあります。
原因は、鼻副鼻腔炎や鼻アレルギー、アデノイド肥大が多く、耳鼻科通院が長引くことが多い疾患です。

治療は、鼻副鼻腔の保存的治療(鼻処置、鼻ネブライザー、炎症が強いときは薬の服用)が第一です。
両側に貯留液が認められるときは、難聴のためこども自身がつらい思いをするので、鼓膜切開で貯留液を排出したり、鼓膜チューブという、糸巻きのような形状の小さな管を鼓膜に留置して、液体が中耳にたまらないようにして、聴力を改善します。

滲出性中耳炎の多くは、身体が大きくなれば(中学生になる頃)自然に軽快しますが、中には、真珠腫性中耳炎という厄介な病気に進展してしまうことがあります。
これは、初期に手術をすれば問題はありませんが、発見が遅れると大掛かりな手術が必要になります。
また、真珠腫を放置すると顔面神経麻痺やめまいなど重篤な病気に進展する事が多く、中には聴力を失う人もいます。
耳鼻科で鼓膜を定期的に観察していれば、真珠腫を初期に発見できますので、滲出性中耳炎といわれた人は、症状がなくても時々耳鼻科を受診される事をお勧めします。

おとなの滲出性中耳炎

発症機序や症状、治療はほぼ子供の場合と同様ですが、上咽頭癌という命に関わる病気に気をつけなければなりません。
鼻腔の奥にある耳管咽頭口(耳とつながっている耳管の出口)付近に悪性腫瘍ができて、子供のアデノイドのように耳管を塞いでいる場合に滲出性中耳炎を発症します。
大人がこの中耳炎を繰り返す場合は、鼻咽腔ファイバーで上咽頭を観察することが必要です。

急性上顎洞炎

急性副鼻腔炎のうち、上顎洞に炎症が限局したもの。多くは虫歯が原因となります。
慢性副鼻腔炎を参照してください。
急性副鼻腔炎は風邪のあとによく見られるもので、風邪の全身症状に、強い鼻閉、顔面や頭部の疼痛、腫脹、膿性鼻汁を認めます。
抗生剤の投与、洞の洗浄等で治療します。

アレルギー性鼻炎(ブタクサ等)

急性発作性に反復するくしゃみ、水性鼻汁、鼻閉を三主徴とする、鼻粘膜でのアレルギー反応。
いわゆる花粉症はそのうち主としてスギ花粉に対するアレルギー症状を指します。
日本でみられるおもなアレルギーの原因物質(抗原)を下の表に記します。

アレルゲンの種類

通年性 季節性
  • ハウスダスト
  • ソバガラ
  • アスペルギルス
  • ペニシリウム
  • キヌ
  • 職業性
  • スギ
  • ヒノキ
  • ハンノキ
  • シラカンバ
  • コナラ
  • カシ
  • イネ科
  • イネ科
  • アルテルナリヤ
  • クラドスポリウム
  • イネ科
  • ブタクサ
  • カナムグラ
  • ヨモギ
  • アルテルナリヤ
  • クラドスポリウム

治療は、とにかく抗原回避につきます。
そうはいっても、抗原からいつでも逃げられる訳でもなく、症状に応じて、坑ヒスタミン剤の内服や局所ステロイド薬の点鼻を行います。
レーザーや下甲介粘膜切除など手術的治療も行なわれています(当院では、現在おこなっておりません)。

インフルエンザなど、ウイルス性上気道炎

ウイルス性の上気道炎は、いわゆる「風邪症候群」とよばれるもので、くしゃみ、鼻水、鼻づまり等、初期症状がアレルギー性鼻炎と類似していて、初診で鼻粘膜をみただけでは明確な鑑別は難しいことがあります。
インフルエンザは、突然発熱することが多いので、耳鼻科を受診された後、熱が出てはじめて診断がつく事もあります。
「鼻炎だと言われたのに、インフルエンザだった!」と酷評されて、耳鼻科医がつらい思いをすることもあります。
風疹、麻疹など、「喉が痛い、鼻がぐずぐずする」といった初期症状を呈し、後から身体に発疹が出てくるものもあり、ときどき、「医者で薬をもらったら、発疹が出た!」などといわれる事もあります。
ウイルス性の疾患は、有効な薬がない場合が多く、治療は安静、補液が第一です。

※新型コロナウイルス感染症についてはまだ不明な点が多々ありますので、記載は控えました。

扁桃周囲膿瘍

扁桃炎が周りの組織に波及して、扁桃の周囲に膿がたまってしまった状態をいいます。
口があきづらいのが特徴です。
たまった膿がさらに咽頭後壁や深頸部に達すると、気道を圧迫し、死に至る事もあります。
出来るだけ早期に切開・排膿を行って、抗生剤の点滴を施行し、入院施設のある病院で経過をみてもらうことが重要です。
ものを飲み込むときの激しい痛みがあるのに、扁桃炎がない場合、つぎの喉頭蓋炎に注意しなければなりません。

急性喉頭蓋炎

喉頭蓋とは、嚥下時に食物が気管に入らないようにするために気管の入り口に蓋をする器官で、舌の付け根の下にあります。
ここが急激に腫れると気管を塞ぎ、窒息で命を落とす場合もあります。
非常に危険な病態なので、この病気を疑ったときには、耳鼻科医は、鼻から入れる内視鏡で確認します。
「のどが痛くて耳鼻科に行ったのに、鼻からファイバーを入れられた!痛かった!」と患者さんに恨まれることもありますが、どうぞご理解ください!
口蓋扁桃や咽頭扁桃(のどの突き当たりにみえる赤い島状の隆起)に異常がないのに、嚥下時の激しい咽頭痛がある方は要注意です。

甲状腺腫

のど仏のすぐ下の頸部には甲状腺という内分泌器官があり、ここが腫れる病気を甲状腺腫と言います。

原因は2つに分類され、1つはホルモンの産生異常を伴うもので、甲状腺自体が大きく腫大します。
よく知られているものに、甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)や機能低下症があります。
甲状腺の機能が亢進すると、イライラしたり、汗をかきやすくなったり、脈が速くなったりします。
逆に機能が低下すると、疲れやすくなり、脈がおそくなり、身体がむくんで来たりします。

2つ目の原因は、甲状腺に癌や腫瘍や、嚢腫(袋)や、こぶが出来るものです。
診断は、超音波によるものが現在最も信頼性が高いと院長は考えていますが、機械が高額で、残念ながら当院には設置されていません。
甲状腺腫が疑われる方は、専門施設に紹介させていただきます。
癌の場合の治療は、手術による摘出、放射性ヨード等があります。

唾石

あごの下には、顎下腺といわれる唾液を分泌する器官があり、ここで産生された唾液はワルトン管とよばれる管を通って、舌の下から口の中に出て行き、口内の清浄化に寄与します。
この管を、唾液成分が析出した石が塞ぐと唾液が口の中に出て行けず、顎下腺が腫れてしまいます。
特に食事のときは唾液分泌が盛んなので、症例12のような症状が出ます。
治療は、大きいものは手術的な摘出ですが、小さいものは自然に排出されてしまう事があります。

また、まれに管が腫瘍(唾液腺腫瘍)で圧迫されて同様な症状が起こる事があり、鑑別診断が大切です。

急性喉頭炎

多くはウイルス性上気道炎が喉頭(声を出すところ)に波及したため、声帯付近に炎症が起こった状態です。
ひどい咳で(強い気流で)刺激を受けた声帯が粘膜下出血を起こしてしまう事もあります。
声を出さずに安静にしていれば10日位で自然に治ります。
咳がひどい場合や、細菌の2次感染を起こしている方には、内服薬を処方したり、声帯の炎症を沈めるために、ステロイドの吸入やネブライザーを行ったりします。

喉頭癌

喫煙歴の長い人に圧倒的に多く発生するのがこの病気です。
声帯の上に癌が出来た場合は、「声枯れ」(医学用語では嗄声)という症状が出るため、早期に見つかる事が多く、声帯の一部に限局している場合(T1)、放射線照射のみで治癒することもあります。
しかし、声帯から離れた位置に発生すると症状がなく、発見が遅れることが多くみられます。
鼻から入れる耳鼻科専用の内視鏡で見つける事ができます。

また、発見が遅れがちな癌で、下咽頭という食道の入り口にできる癌もあります。
これは、内視鏡でみても初期には発見できない事が多く、設備のある病院でバリウムを飲みながらレントゲンを撮影するなどの、特別な検査が必要な場合があります。

同じ声枯れでも、声帯の動きに障害が出る反回神経麻痺という病気があります。
これは、食道癌、甲状腺癌、肺癌、胸部大動脈瘤などが声帯を動かす神経を浸食して起こってくるものです。
原因不明の場合もあります。
麻痺の診断を耳鼻科で行った上で、原因検索のために他科との協力が必要です。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔の慢性炎症で、急性炎症の繰り返しに素因(遺伝、アレルギー)や生活環境(大気汚染など)が関与して慢性化します。
鼻の症状は、鼻閉、鼻汁、後鼻漏、嗅覚障害などが典型的です。
その他、頭痛、注意散漫、眼性疲労などを伴う事が多く、放置すると中耳炎や副鼻腔気管支炎、視神経炎などを発症する事があります。
しかし、軽症の場合は必ずしも耳鼻科通院を続ける必要はありません。
このような症状が気になる方は、ご自分の病気がどの程度なのか、一度は耳鼻科で診察を受けられる事をお勧めします。

注意しなければいけないのは、上記のような症状を呈する方の中に、上顎癌や鼻腔腫瘍の方が混じっている事です。
これは、レントゲンや、組織の検査である程度の診断ができます。

慢性副鼻腔炎の治療は、まず、保存的に行われ、急性増悪を繰り返す場合に手術的治療を考慮します。
保存的治療には、抗生剤(短期)や去痰薬、消炎酵素剤などの内服、鼻洗浄、ネブライザー等があります。
マクロライド系の抗生剤を少量で長期に内服する特殊な治療もあります。
手術は鼻の中から内視鏡を使って行うESSと呼ばれるものが主流となっています。
症例によっては、歯茎の上を切開して骨を削り、上顎洞等を清掃する手術も行われます。
(当院では、手術は行っておりませんので、最適な医療機関に紹介させていただいております。)

病巣感染症

扁桃に慢性感染病巣(原病巣)があり、扁桃自体はほとんど無症状であるのに他の遠隔諸臓器に病変(二次病巣)を引き起こします。
抗原抗体複合体が組織や臓器に沈着することが原因といわれています。

病巣感染症の種類

腎炎、皮膚疾患、リウマチ性疾患、リウマチ性関節炎、胸助鎖骨過形成症、心内膜炎、大動脈症候群、その他

扁桃肥大

アデノイドと同じく、こどものいびきの原因になるものに扁桃肥大(特に下方への肥大)があります。
扁桃が大きいと肉のかたまりなどを飲み込む動作が不自由になり、口の外にベエーっと出してしまうことがよく観察されます。
扁桃も感染を繰り返すと大きくなりますので、治療は炎症の沈静につきます。
発育障害が認められたり、扁桃炎を繰り返したりする場合は手術的に摘出します。
手術は全身麻酔下で行われる事がほとんどですので、入院が必要です。

アデノイド増殖症

アデノイド:乳児期以降(3歳頃から)に生理的に肥大し、5歳前後で最大となります。
感染により肥大が促進されます。
10歳頃には退縮します。
鼻の突き当たりにあるので、鼻呼吸を邪魔するため、こどものいびきの原因で最も多いものです。
ここの感染による炎症が耳管を経由して中耳に到達すると、中耳炎を起こします。
耳管の出口を圧迫して、中耳に空気が入らないと、滲出性中耳炎を引き起こしやすくなります。

治療は感染予防が第一ですが、一回一回の風邪の後、鼻咽腔にできるだけ炎症を残さない事が大切です。
そのために、耳鼻科では、鼻の吸引やネブライザーなどを行います。
保存的治療を行ってもいびきなどの症状が改善せず、夜間の無呼吸のため発育障害が認められる場合は、手術的にアデノイドを切除します。
この手術は入院が必要で全身麻酔下に行われます。

アデノイド増殖があるときの症状

  • 鼻症状:鼻閉、口呼吸、いびき
  • 睡眠障害:身体発育障害、夜驚症、夜尿症、無呼吸

小児声帯結節

声帯結節は成人でもみられる、声帯にできたイボのようなものです。
両方の声帯が接触する場所に形成されます。
保母さんや、魚屋さんなど大きな声を使う職業の方に多くみられます。
小児では、大声をあげて走り回る元気な男の子によくみられます。
ポリープとは違って硬くて小さいので、手術的な治療はあまり行いません。
声の安静が唯一の治療ですが、皆さん、声を出さずにはいられない方ばかりですので、治療に困る事がままあります。
良性の疾患ですので、一度きちんと耳鼻科を受診して、診断をつけてもらえば、経過を見ていて構いません。
声帯ポリープは結節より大きく、切除すると著明に声枯れが改善します。

診療の
進行状況