耳鼻科の病気について
こどもの耳・鼻・のど
小児の耳鼻科的疾患は、その解剖学的未熟さから、耳,鼻、のどを一緒に考えて行かないと充分な治療効果が得られません。
ここでは、小児の症例をいくつか示して、可能性のある疾患を考えて行きたいと思います。
外耳・内耳・中耳
外耳道の突き当たりに鼓膜という薄い膜があり、その裏側の空間を中耳とよびます。
中耳炎とはこの空間に細菌が繁殖したり、炎症で滲出液がたまったりしている状態を指します。
空気の振動である音は鼓膜の裏にくっついている耳小骨を経てカタツムリの格好をした内耳に伝わります。
内耳の中はリンパ液で満たされていて、ここで音が電気的な信号に変換され、神経を伝わって脳に伝達されます。
中耳は耳管という管で鼻咽腔(鼻腔の突き当たり)とつながっていて、この管の出口付近にアデノイド(咽頭扁桃)があります。
風邪のあとに中耳炎になりやすいのは、鼻やのど(咽頭)で繁殖した細菌がこの耳管経由で中耳に侵入するためです。
こどもの場合、成人に比べて耳管が太く、短く、水平に位置しているため、容易に中耳炎になります。
また、アデノイドも大きくて、炎症を起こす事が多く、この傾向に拍車をかけています。
こどもが耳鼻科を受診するとき
- 耳が痛い
- 耳が変?
- 鼻水が止まらない
- 鼻がつまる
- いびきがひどくなった
- 熱を出してのどが痛いと言っている
- 風邪は治ったのに、朝、咳をしている
- なんだか鼻の奥がすっきりしない
- 声がかれている
症例から考える
- 注 意
- ここでは、「可能性のある」「放っておいてはいけない」疾患を書いてあるので、このような症状があるからといってもすべての方に当てはまる訳ではありません。
症例1
症例2
症例3
症例4
症例5
症例6
1歳 男の子
保育園児
- 症状
- 生後、8ヶ月頃から耳だれを繰り返し、ずーっと抗生剤を飲んでいる。鼓膜切開も頻回に受けている。こんなに薬を飲んで大丈夫かしら?耳だれが止まると、医者には内緒で薬を飲ませるのをやめてしまうこともある。
- 考えられる耳鼻科の病気
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- 反復性中耳炎
- 耐性菌
- 免疫異常
- 鼻咽腔に住んでるしつこい細菌
- 先天性真珠腫性中耳炎
こどもは自分から症状を訴える事ができないため、思わぬ病気が隠れている事があります。
積極的に健診を利用してください。